パズルは「知育玩具」として人気が高く、日本でも長きにわたって親しまれてきたおもちゃです。
対象年齢も幅広く、小中学生や高校生、あるいは大人でも楽しめるジグソーパズルのほか、乳幼児から遊べるシンプルなものまで多様なラインアップが展開されています。
自分の子どもに買い与えるほか、友人や家族の子どもへのプレゼントとしてもメジャーなパズル。しかし、種類が多いため「どれにすればいいのかわからない」という状況にも陥りやすいでしょう。
この記事では、パズルの知育効果や、選ぶ際の注意点をふまえ、年齢ごとのおすすめパズルを紹介していきます。
パズルは知育に適したおもちゃ
パズルの知育効果は広く知られており、実にさまざまな効果がメディアで紹介されています。ここでは、主要な知育効果として取り上げられることの多いポイントについて解説します。
空間認識や色彩感覚を養う
パズルがもたらす効果として、よく知られているのが「空間認識」や「色彩感覚」の発達を促すというポイントです。
ピースの形状を手のひらで確かめながら、空いている部分に当てはまるかどうかを試していく作業を繰り返すことで、空間認識の力が向上すると考えられています。
さらに、空いている部分周辺の色や図柄から、「どんなピースが入るか」を想像し、正解を見つけていく作業は、色彩感覚や想像力の成長にもつながるでしょう。
集中力を育てる
パズルに熱心に取り組むことで、集中力が鍛えられるという効果も期待できます。
パズルには図柄の完成という「明確なゴール」があるため、さまざまな遊びのなかでも目の前の作業に没頭しやすい性質があります。好きなキャラクター、興味のあるものの絵や写真が入ったパズルであれば、いっそう集中を促せるでしょう。
さらに、パズルを通じて「特定の空間に意識を集中する習慣」をつけておくことで、その後の学びの場面でも力を発揮しやすくなると考えられます。
記憶力や知識向上にも
パズルの知育効果は、記憶力や知識にも及ぶことが期待できます。
最初は完成まで時間がかかったり、大人に手伝ってもらったりしていても、同じパズルを繰り返し遊ぶことで、ピースの配置や絵柄を覚え、よりスムーズに組み上げられるようになるでしょう。このような過程のなかで、物の形や色を記憶する習慣が自然に身についていくと考えられます。
さらに、動物や乗り物などの図柄がいくつも入っているパズルであれば、組み立てる作業のなかで物の名前を覚えることにもつながります。数字やアルファベット、国旗など、成長段階に応じてテーマを選ぶことで、「遊び」と「学習」をセットで進めていけるでしょう。
パズルで遊ぶ際の注意点
パズルは基本的に屋内の遊びですので、乳幼児にとっても危険性は小さいといえます。しかし、万が一を予防するうえで、気をつけておきたいポイントもいくつかあります。
安全に楽しめる環境を整え、子どもが熱中しやすい状況を用意してあげましょう。
対象年齢に注意
パズルを買い与える際には、子どもにとって「難しすぎないか」を検討しておくことが大切です。
発育段階からかけ離れた難易度のパズルを与えてしまうと、達成感が得られず、苦手意識が定着してしまう可能性も考えられます。商品情報ページに記載されている対象年齢を目安に、実際に子どもの様子を見ながらステップを進めていくことが望ましいでしょう。
パズルを始める年齢や、年齢ごとの難易度に明確な基準はありませんが、概ね下記のようなピース数が目安とされています。これを参考にしながら、それぞれの成長に合わせたものを選んであげるとよいでしょう。
■1歳前後
10ピース未満の「型にはめるだけ」のタイプなど
■2歳~
10~20ピースで、それぞれのピースの違いがわかりやすいもの
■3歳~
30~50ピースで、ある程度複雑な図柄の入ったもの
■4歳~
50ピース以上で興味・関心に合わせたもの、知識習得に役立つもの
ピースの素材や大きさに注意
パズルで遊ぶ際にピースが小さいと、目を離した時に誤飲してしまうおそれがあります。そのため乳幼児の段階では、口に入らないサイズのものを選ぶことが重要です。
また、使っているうちに部品が欠け、切れ端などを飲み込んでしまう可能性もあるため、「先端部分に強度がありそうか」といった点もチェックするとよいでしょう。
その他、木製パズルなどはピースにささくれが生じることもあるので、開封時のほか定期的にピースの状態を確認しておきましょう。
はじめてのパズルにおすすめの商品
はじめてのパズルには、「型はめ」タイプがおすすめです。通常のジグソーパズルのようにピース同士をつなげるのではなく、独立した空白部分にピースを当てはめていく形になっているので、「形を見比べてはめ込む」というシンプルな作業を楽しめます。
以下では具体的に、はじめてパズルに取り組む際におすすめの型はめパズルを紹介していきます。
エド・インター 木のパズル なかよしどうぶつ
カラフルな9種類の動物が特徴の、型はめタイプの木製パズルです。
ピースが埋まっていない部分には、当てはまるピースと同じ絵が描かれているので、どこに何を当てはめればいいのかがわかりやすく、はじめてのパズルにも使いやすいでしょう。
最初はうまくピースを当てはめることができなくても、ピースごとに動物の絵が入っているため、単体で触って遊ぶこともできます。
作業する際には、それぞれのピースの中央に小さな取っ手がついているので、ピースを外したり当てはめたりしやすいのも特徴です。
(商品情報ページ:株式会社エド・インター「木のパズル なかよしどうぶつ」)
ボーネルンド ファーストピックアップパズル てんとう虫
てんとう虫の形をした、大きさと色の異なる5つのピースを使った型はめタイプのパズルです。
ピースの空いた箇所には数字が記入されており、てんとう虫の背中にある星の数と合致するようになっているので、簡単な数の学習にもなります。
こちらもピース中央に取っ手がついており、小さい子どもにとって扱いやすくなっています。
(商品情報ページ:ボーネルンド オンラインショップ「ファーストピックアップパズル てんとう虫」)
2歳児前後におすすめのパズル
基本的に、2歳前後の子どもも引き続き「型はめ」タイプで楽しむことができます。また、シンプルなジグソーパズルに取り組みはじめ、最初は大人と協力し、次第に独力でもやり方を覚えていく、という形も見られるようになります。
くもんのジグソーパズル STEP2
「くもん式」で知られる「株式会社くもん出版」のパズルです。成長に合わせて「STEP0」から「STEP7」まで8つのステップが用意されています。
2歳児向けの「STEP2」は、4つのパズルがセットになった商品であり、9ピースから20ピースまで段階的に数を増やしていけるのが特徴です。4つのパズルは別々の収納箱に入っているため、遊んだ後は片付けの練習にもなります。
図柄としては「動物」「新幹線」「働く車」の3つのシリーズが用意されており、子どもの興味に合わせて選べるようになっています。
(商品情報ページ:くもん出版「知育玩具 商品ラインアップ」)
アポロ社のキューブパズル
9つの立方体を組み合わせて図柄を揃えるパズルです。6面それぞれに異なる図柄が入っているため、6通りの完成パターンがあります。
難易度はやや高めですが、その分長く遊ぶことができるでしょう。子どもに人気のキャラクターが多くラインアップされている点も特徴であり、お気に入りの図柄が見つけやすくなっています。
(商品情報ページ:株式会社アポロ社「えあわせキューブパズル」)
絵あわせきしゃポッポ あいうえお ~ひらがな~
くもん出版の学習系パズルであり、遊びながら「ひらがな」を学べるよう工夫された商品です。
汽車を模した5つのボードに、円形のピースを当てはめていきます。ボードとピースはリバーシブルになっていて、表面が「それぞれのひらがなを頭文字にした言葉のイラスト」なので、こちらは「絵合わせ」として楽しめます。一方の裏面はシンプルな「五十音」で、「あ」から「ん」までをボードにはめていく形です。
さらに、ボード同士もピースとして連結可能であり、さまざまな遊び方に対応したアイデア商品となっています。
(商品情報ページ:くもん出版「知育玩具 商品詳細」)
3歳児前後におすすめのパズル
3歳児になると、さらに多くのピースからなるジグソーパズルにも取り組めるようになる傾向が見られます。少し複雑な仕掛けのあるパズルなども検討してみるとよいかもしれません。
Hape(ハペ)社の時計型木製パズル
ドイツのおもちゃメーカーが製作する、時計盤を模した木製パズルです。
ピースは1から12までの数字のみであり、型はめタイプのため難易度は低めになっています。一方で、時計の針の部分が可動式になっていますので、自由に動かしながら「これは○時○分」というように、時間の読み方を学べます。
文字盤には英語で「o’clock(○時ちょうど)」「quarter past(15分)」「half past(30分)」「quarter to(45分)」と印字されており、英語での時刻の表現方法を学ぶ際にも役立つでしょう。
(商品情報ページ:Hape Toys “Chunky Clock Puzzle”
日本での販売ページ:amazon 「Hape(ハペ) 時計パズル E1622A」)
くもんのジグソーパズル STEP3
くもん出版のパズルシリーズの「STEP3」は、3つのパズルがセットになった商品です。「24ピース」「35ピース」「48ピース」とステップアップできるようになっています。
図柄もSTEP2と共通のシリーズであり、「動物」「特急列車」「働く車」の3つが用意されているため、前の段階からの移行もスムーズにいきやすいと考えられます。
(商品情報ページ:くもん出版「知育玩具 商品ラインアップ」)
エド・インター 木のパズル A・B・C
型はめタイプのアルファベットパズルです。アルファベットの形を手で覚えたり、ピースを使って英単語を作ってみたり、という遊び方ができます。
ピースの空いた箇所には該当するアルファベットで始まる英単語がイラストつきで載っており、英語学習のきっかけとしても利用できるでしょう。
(商品情報ページ:株式会社エド・インター「木のパズル A・B・C」)
また、同社のパズルシリーズには「木のパズル 1・2・3」という数字バージョンも用意されています。数字は0~9のセットが2組あり、四則演算の記号もついているので、簡単な計算式を作ることも可能です。
(商品情報ページ:株式会社エド・インター「木のパズル 1・2・3」)
4歳以降におすすめのパズル
4歳以降は空間把握力もより発達し、ピースの多いパズルや、学習効果の高いパズルに取り組める子どもも増えていきます。興味に合わせて知識を深めていける商品や、難易度が高めのパズルにも挑戦してみるとよいでしょう。
木玩社のアニマルテトリス
ケヤキ材などを利用した木製パズルです。「アニマルテトリス」の名前のとおり、四角形を組み合わせた形状の動物型ピースを台座に当てはめていきます。シンプルな構造だけに、ピースごとの形を区別することが難しく、空間把握の力が求められるでしょう。
台座に置くだけでなく、それぞれのピースが自立可能な形になっているため、積み木のように遊べる点も特徴です。
(商品販売ページ:amazon「木玩社のアニマルテトリス」)
学研のパズル 日本列島
それぞれの都道府県がピースになった日本地図のパズルです。県庁所在地や特産品、世界遺産などの情報もピースに入っており、常識とされる知識を身につけながら楽しめます。
都道府県の配置を覚えることはもちろん、それぞれの形や大きさを比較しながら体で覚えることもでき、後の学校教育への土台作りにもなるでしょう。
(商品情報ページ:学研ステイフル「学研のパズル 日本列島」)
ハナヤマ ゲーム&パズル世界地図
世界地図について遊びながら学べるパズルです。大きく3つの遊び方に対応しており、地形ごとに色分けされた「地勢図パズル」、国ごとに色分けされた「行政図パズル」に加え、世界地図が描かれた台座を用いたスゴロク「世界一周旅行ゲーム」としても楽しめます。
同梱資料には国ごとの首都や人口、面積、国旗などの情報が記載されており、興味に応じて学びを深めていける点もポイントです。
使用しない間、台座の地図を壁などに貼り付けたりすれば、地理関係を身近な形で理解することにもつながるでしょう。
(商品情報ページ:株式会社ハナヤマ「ボードゲーム」)
ジグソーパズルに取り組む際におすすめの「組み立てマット」
低年齢向けのパズルであれば、あらかじめ台座がついているものも多いですが、年齢が進みピース数の多いパズルに取り組むようになると、台座がなく組み立てスペースに困るケースも出てくるかもしれません。
そのような場合、エポック社などが商品化しているジグソーパズル用の組み立てマットであれば、作業中の下敷きとして作業スペースを確保できます。組み立て途中でも、マットを巻き取るだけで進行状態をキープできるため、作業しない時間にスペースを取らずに済む点も便利なポイントです。
(商品情報ページ:エポック社「ジグソーパズル組み立てマット」)
まとめ
パズルは親子で楽しみやすいおもちゃの1つであり、多面的な知育効果も期待できます。
とはいえ遊びにおいては「子どもが楽しむこと」が何より重要ですから、「知育」という観点にあまり縛られず、興味を育てられるような製品を選んでいくことも大切です。
対象年齢についても参考程度に考え、「その時子どもが熱中しているもの」を尊重しながらステップを進めていくとよいでしょう。